笠間熟成栗モンブラン

Attention to an attractive shape

魅せる形にしたい、という強いこだわりがありました。

一般的にモンブランと言えば、どんな形を思い浮かべますか。

いわゆる横に長い形で、上からアミアミ線のマロンペーストがかかっている姿を想像されるかと思います。

パティスリーナカヤマでは、当たり前のどこにでもあるモンブランとは一線を画しものを作りたい、という思いがありました。

一見して、これは何?見たことないんだけど、という感想が欲しい。

つまり、形状に強い思い入れがあるモンブランです。

上からナイフを入れたときの構造には、三つのポイントがあります。

△熟成笠間栗の仕分け作業

Point I: Cone shape

見ての通り、円錐形です。

一見してどんなケーキだか想像が付かない。

ただ名前に笠間熟成栗、とあるので、「あぁモンブランケーキなんだな」と分かります。

今まで持っていたモンブランの概念を打ち破る。

食べてみるまで、どんな味なのか想像がつかない。

ケーキを召し上がっていただくときの、ドキドキ感を今一度思い起こして欲しかったのです。

△見たことないはず。円錐形のモンブラン。

Point II: Mascarpone and fat fresh cream

味わい深い笠間熟成栗を存分に食して欲しい一方で、食べきれないほど重くはしたくなかった。

モンブランを食べて、目の前から無くなってしまった後、「あれ、なんかもう一個いける」と思ってもらえるくらいの軽さを出したいと思いました。

中身はマスカルポーネチーズに脂肪分XX%(企業秘密!?)の生クリームを混ぜ込んだものにしました。

脂肪分を抑えることでさっぱりとした口当たりになります。甘み、重みが残りません。

クドくならない全体のバランスを目指して試作し、何度も練り直して、ベストな配合を見つけました。

これなら、最後まで美味しい。そう思えました。

△形状がいびつなために焼き栗にはならなくても、味に全く問題のない栗は沢山あります。

Point III: Chocolate-coated meringue on the base

基底部はスポンジ、タルト、そしてメレンゲとで悩みました。

スポンジにすると、栗、クリームの縦構造では食感があまり変わらない。

タルトの土台はがっつり固くなりすぎて、今度は食感が別れてしまう。

そこでメレンゲの採用となりました。

メレンゲはサクッとした食感が魅力です。

一方で上部マスカルポーネクリームからの水分を吸ってしまう。

チョココーティングすることで、染み出る水分からの分離が実現されます。

△笠間栗はなかなか市場に出回りません。おとなり和菓子屋「ゆたかや」の中山代表みずからが交渉に当たってくれたので、笠間熟成栗を入手することができています。

Conclusion: Once you eat one, you’ll want another.

味わうときには、ぜひ縦構造にざくーっと割って欲しいです。

上から栗のペースト、中身はマスカルポーネ。そして最後のメレンゲがサクッと支えています。

頬張ると、全体として秋の栗を存分に味わうことができるはず。

△一個食べ終わっても、もう一つ食べたいと思えるくらいの軽さを目指しました。