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パイは寝て待て!パティスリーナカヤマのリーフパイ

LEAF PIE INTERVIEW

読了時間:約26分

パイは寝て待て。

仕込みから焼き上げまで4日間。シンプルな材料だからこそ、ごまかしは利きません。分厚く、サクふわに焼き上がるリーフパイの秘密を聞きました。

01焼き上がりまで、4日間

聞き手

リーフパイについて、聞かせてください。通常本業であるケーキ屋さんと言えども、リーフパイの生地っていうのは、なかなか店舗では準備できないものなんですか?

店長

パイ生地を折り込む作業がどうしても時間がかかっちゃうので、自分で一からやろうって思う人はなかなか。やっぱり、それが日常的な業務に組み込まれないと。

聞き手

材料はシンプルそのものですね。これを通常だと外部から購入してしまう。もう出来上がった状態のものを。パティスリー・ナカヤマさんだと、それを実店舗で製造される、とのことですね。どういう過程で作られているんですか?

店長

まず材料です。うちのリーフパイは、仕込み方でいうと「練りパイ」っていう作業の仕方になるんですけど。まず初日に材料を混ぜて捏ね、一日寝かします。仕込みで1日かかります。次の日に折り込む作業が入って、それで2日目です。3日目に、その折り込んだ生地を平らにのす作業。しっかり生地を休ませて冷凍して、その冷凍したパイ生地をリーフ、葉っぱの形に抜いていきます。4日目に、それをやっと焼けるんですよ。

聞き手

四日目にようやく焼きっていうことですね。一般的なケーキ屋さんであれば、冷凍までされたものが外部から搬入される、ということですか。

店長

そうですね。わりと多いと思います。冷凍生地を買って、焼いて、包装するみたいな。

聞き手

なるほど、なるほど。

02シンプルだから、ごまかしが利かない

店長

材料としてバター、水、塩、フランス粉という超シンプルなものしか入らないので、ごまかしが利かないというか。やり方はめちゃくちゃ簡単なんですけど、余計なものが入らない分、ごまかしが利かないので。初日の仕込みは、練りパイでビーター(平たい羽根状のアタッチメント)で混ぜるんですけど、その仕込みがそもそも下手くそだったら、まず分厚いリーフパイができないし。二日目の折り込みをもたもたしていてバターが溶けちゃったら膨らまないし。三日目ののしについても、手間取ってバターがどんどん溶けちゃう。バターと粉が一緒になっちゃうのが、膨らまない原因になっちゃうので。ハンドスピードは速く。全工程で4日間かかるんですけど、仕込み、折り、のし、抜きが、ちゃんとスピーディーにできないとだめ。バターが溶けないスピードでやっていかないと、あの分厚さはどうしても出ない。

聞き手

分厚さということですが、冷凍で仕入れたものは膨らみにくいですか?

店長

そうですね。まず、分厚いリーフパイは焼けないです。仕入れのパイシートでは。

聞き手

そうなんですね。

店長

ちょっとこう、のぺっとした感じ。

聞き手

平べったい。

店長

平べったい感じ。薄いリーフパイ。簡単なんですけど。本当に材料も簡単だし、やり方も簡単なんですけど。仕込んで、折って、のす、だけなんですけど。

聞き手

スピード感が大事なんですね。

店長

行程全部そろわないと。どこかが駄目でも駄目なんで。

聞き手

本当ですね。このバター、水、塩、フランス粉というシンプルな材料だけですものね。

店長

どこかがへぼかったら、マジで膨らまない。

聞き手

分かりました。これが、あの分厚いサクふわリーフパイになるんですね。

03季節を読み、生地を休ませる

店長

あとは、俺のこだわりというか、マニアックな話になっちゃいますが、夏と冬で気温が違うじゃないですか。バターの溶けるスピードも、温度も違うんですよ。夏場は湿気も違う。湿気があるんで、ちょっと水を少なくしようとか。逆に冬は折りやすい。折りやすいけど乾燥してるんで、ちょっと水を増やそうとか。

聞き手

湿気と水の分量が季節毎に違う、というロジックですね。

店長

そこの微妙なさじ加減は、仕込みしながら、折りながら、のしながら、その手の感触が重要です。基本、その分量は俺が、水を増やしたりとか減らしたりとかやってます。折ってもらう作業は、今いるスタッフに教え込んだんで。

聞き手

四日間に渡る工程についてですが、「寝かす」っていう作業は、やっぱり必要なんですか?

店長

必要っすね。人間でも400メートル走った後に、すぐ100メートル走れっていったら無理じゃないですか。一回休ませる。一晩、一回休ませる。その、やっぱり生地が変わってくる。しっかり寝かせないと。その分ストレスがかかってるんで。仕込みにしろ、折りにしろ、のしにしろ。

聞き手

ストレス? 小麦にですか?

店長

フランス粉にストレスがかかるんです。材料、その生地自体をやっぱり動かしてるんで、ストレスがかかっちゃってるわけです。しっかり休ませてあげないと。仮の話、折り、のしを一日で連続でやると、たとえ2、3時間休ませたとしても、どんどんバターが溶けていっちゃう。とにかく、バターと小麦粉が一緒にならないようにしなきゃいけない。

聞き手

バターと小麦粉の分離ですか!

店長

一緒になると、リーフに層ができない。

聞き手

連続でやると、それが混ざっちゃう、ということですか?

店長

混ざる。余計なものを入れてないので簡単に混ざります。

聞き手

ですよね。そうなると、本当に買っちゃった方が早くて便利という経営判断になるところを、あえてパティスリー・ナカヤマでは作っていると。

店長

日常的な作業なんでね。

聞き手

日常的にやってるからできること。分かりました。ありがとうございました。